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■第十五話 お婆さん |
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私が小学生だった頃の話です。 小学一年より「そろばん」を習っていまして、確か週に三回は通っていたと思います。 夕方からの授業であった為、帰宅は六時〜七時になってしまいます。 それでも夏場はまだ明るいのでたいした事ないのですが、さすがに冬はまわりが暗くて、怖い思いをしながら帰宅していたのを思い出します。 いつだったか、やはり夕方の空は暗くなり掛けていて、これは早く帰らないと真っ暗になってしまうと急いで自転車を走らせていました。 もう少し…あと500mもすれば、自宅に着くという所に一つの曲がり角があります。 角には平屋の家が立ち、玄関まで階段が数段付いています。 その階段脇には普段は盆栽などが置かれていました。 学校へ行く時も塾へ行く時も、勿論遊びに行く時にも、そこは必ず通るので必然と記憶にインプットされてしまうのですが、不思議なモノで普段あるモノが無いと、異様に不自然に思えてしまいます。 その日の帰宅時に、その盆栽はなくなっていました。 「あれ?今日の朝はあったよな…」 と思い、もう一度よく見てみると…階段には何も無いのですが、その代わりに 一人のお婆さん が座っていました。 「!?」 このシチュエーションを今、目前にしたら何も思わずに、その階段に向け歩いていったと思います。 しかし当時の私は小学生。 座りながら不気味にニッコリ笑うお婆さんに、驚いてしまい立ち止まってしまいました。 恐怖の余り、立ち止まること数秒か数十秒か…はたまた数分か。 どちらにしても、私の中では物凄く長い時間でした。 しかし、そこを通らねば帰宅は残念ながら出来ない。 小学生ながら意を決して、お婆さんの方に向かい歩き出しました。 「意を決した」なんてカッコイイ事書いてますが、実際は「忍び足」で そろ〜り…そろ〜り… といった具合で歩いていました。 だって怖かったんだもん! でも実際には、単なるお婆さんですから、怖い事は無いと思いますし、当時子供であった私も、そう思っていました。 (ただのお婆さんだ。怖くなんてない…) そんな風に考えていたのですが、それでもやはり怖かったんです。 理由なんてなかったのですが、不気味に笑うその風貌が、ただただ怖くて。 お婆さんを見ながら、一歩一歩ゆっくりと歩み寄るうちに、不思議な事に気がつきました。 そのお婆さんが透けているんです! 私は再び足を止めました。 じっとお婆さんを眺め、その透けているお婆さんも、私の事を見ている…。 とても怖いのですが、かといって今さら目をそらす事は出来ない。 後ろに降り返り走って逃げようかと何度も思ったのですが、そうすると何だかそのお婆さんが、私を追いかけて来そうな気がして…。 それに何より、そこを通らないと自宅には絶対に帰れません。 なので、やはりそこは我慢して、前に進む事にしました。 怯えながら、もう一歩踏み込んでみた。 「あれ?」 踏み込んでお婆さんとの距離が縮まったと同時に、お婆さんの透け具合が一段と増したのである。 「おおっ、じゃあもう一歩」 と思い、足をさらに一歩進めてみる。 「おおおっ?」 なんと、お婆さんの姿はほぼ見えません。 これが今の私なら物凄い恐怖なのですが、子供の考えは不思議なモノで見えなければ怖くないと、その時は思ったのです。 次にもう一歩前に出た時には、お婆さんの姿はありませんでした。 私は「今だ!」と思い、そこから一気にダッシュでその場を通り過ぎました。 走り去る途中、その階段付近で「線香」を焚いた臭いがしたのですがそれはこの際、どこかの家で焚いていた臭いにしておきましょう。 こんな話を親にしたって、信じてもらえないのは、その当時既に分っていました。 ですから親には話さずに、私だけの秘密にしておきました。 時が経ち、現在になって試しに親に先日話してみたのですが、やはり真っ向から否定していました。 まあ信じない人には信じられない出来事ですから、無理に信じろとは言えないですし、それはそれでしょうがない。 でもねお母さん。 貴方と友人が乗っていた車に私が跳ねられた時があったでしょう? その場所が、お婆さんの座っていた場所なんだよ。 自転車が原型を留めない程にぐにゃぐにゃになり、私は階段横の壁に激突したよね? それでも私は無傷だったのを憶えているでしょ? その事故が起きたのが、お婆さんの姿を見てから三日後の事なんだよ。 貴方はこの話をどう取るか? 事故に遭遇して、そのお婆さんの霊が私を救ってくれたのか? それともお婆さんの霊が私を事故に遭わせたのか? 今となってはもう分らない…。 しかし、その現場で車にひかれたのは紛れもない事実でです。 そして、その場に不気味に笑いながら消えていった、お婆さんの姿が今も忘れられないでいます。 小学五年の頃の話です…。 |
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