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■第二十四話
聞こえてくる音 : その2

注:この作品は当サイトのメルマガ「路地裏通信」で公開したものです

■当日

その日にしておくべき業務を早々と済ませ、早速現地へと車を走らせる。
現地までの道程は、仕事で幾度と無く通った道であり、スムーズに周辺まで向かうことができた。
ただ途中の分岐点からの道は、私にとっては未経験の土地である。
そこからは「大好きな地図」を片手に、右往左往し始める…が、何とも安易に見つかる。(笑)

次に悩むのは車の停車場所。
しかしこの辺も、何とも安易に見つかってしまう。
いや実際は「停車させるべき場所」ではない箇所に止めさせて頂いたのだが…。
もっと簡単に言えば「路上駐車」させて頂いたのだが、この辺はサラリと見逃して貰う事にしよう。


全て順調(?)に事を運ばせ、早速現地の中に進入する。
現地の雰囲気は、とにかく“大自然”といった感じだ。
その自然豊かな山肌に、時折見え隠れする独得の“岩盤”に鎌倉らしさを感じるのは…はたして私だけだろうか。
例えば横浜横須賀道路、朝比奈インターから鎌倉方面に伸びる「朝比奈峠」。
この切り通しを通る際に、必ず見るであろう山肌の、あの黄土色で地層がハッキリと浮き出た岩盤を見るたびに、


「鎌倉に来たんだなぁ」


なんて思えてくる。
私は訪れたことがないのだが、おそらく「名越の切り通し」なども、生々しい岩盤の浮き出た、鎌倉らしさを醸し出す場所なのであろう。
ぜひ訪れたい場所でもある。

もう1つ「鎌倉らしさ」を感じる要因として個人的に欠かせないのが

「リス」

の存在である。
私は鎌倉に住んでいる訳ではないので、実際に鎌倉のリスが、どのくらい頻繁に出没するのか分からないのだが、少なくとも私が鎌倉を訪れた時には、かなりの高確率で目撃している。
機会があり、江ノ電「極楽寺駅」付近で仕事をしていた時も、たびたび電線の上を「モコモコ」と歩く姿を目撃し、また厳密には鎌倉ではないのだが、以前に行なった「S上池」の探索時にも、数匹と言わず数十匹ものリスを目撃した。

この鎌倉で頻繁に見られるリスの正体は、

「タイワンリス」

という種であるらしく、その名前の通り純国産の種族ではなく、出産地も、名前から察するとおり「台湾」であるとのこと。
その“タイワンリス”が、何故鎌倉に居座り、そして仕舞いには「鎌倉らしさ」を演出するまでに成り得たのか。
それは話し始めれば長くなる事だし、考えてもみればこの

「心霊系サイト」

で書くべき事実でもないので、書かないでこう。
ただ、ザックリと簡単に書くと、ペット業界や様々な箇所で作られた動物園がタイワンリス増殖の土台となっているようだ。


さて、何はともあれ“鎌倉らしさ”を感じつつ進む「散■ヶ池」。
直接この散■ヶ池に向かう道もあるのですが、あえて緑を楽しむべく「せせらぎの小径」と呼ばれる小川の流れる自然豊かな道を進むことに。

ここにもやはり生々しい岩盤が待ち構えており、かなりの見応を感じる。
しかもそして極めつけは「タイワンリス」の存在だ。


「んん〜…鎌倉っぽい」


なんて独り言を思わず口走ってしまう。
そんな雰囲気を十分に漂わせる素晴らしい場所である。

小川の脇に伸びる道を進み、その先に立ちはだかる急勾配の荒々しい道を登った先に、目的地の「散■ヶ池」が広がっていた。

木々の緑は勇ましく生い茂り、そして夏の強い日差しに照らされた、この「散■ヶ池」の姿は、ある種の神秘さえ感じられる程の美しさを私に見せ付けていた気がする…。

そして私は、颯爽と湖畔に敷かれた道を進んでいくのだが…


その3へつづく…


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