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■当然とは言え、私にとっては決して歩き易くない山道に、徐々に体力を奪われながらの取材だが、目的地までの道程の、約半分を歩き切った事に、精神的に余裕が生まれた。 しかしながら、心の余裕が出来たとて、やはり肉体は嘘を隠す事の出来ない30半ばの立派な中年だ。 そんな精神的な回復は、それこそ瞬間的に消えてしまったのは想像するまでもない。 |
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■そうこうしている頃だっただろうか。「恐怖体験談」に書いたエピソードの“声”らしきものが聞こえてきたのは。 女性と思わしき話し声が、内容までは確認できなかったのだが楽しげに聞こえ、こんな山の中で決して孤独ではないという安堵を覚る。また、先の目標も見つけ「追い抜いてやろう」と意気込み、歩むスピードを上げたりもした。 しかし、結果としては如何に早く歩こうと、最終的には「恐怖体験談」にも書いたとおり追いつけなかった。追いつけないどころか、その後に目的地である八丁池に辿り着いても、その女性の存在すら確認出来なかったのである。実に不思議であり奇妙な体験であった。といって、どん底の恐怖を味わったとまではいかないエピソードなのだが…。 そんな体験談については、「恐怖体験談」で多く語っているので、この辺までにしておこう。 (管理者の体験談第31話“話し声”参照) |
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■相変わらず歩き辛い山道が続く。 この辺で、例の声が聞えた様に記憶している。 とりあえず、その声を目標にペースを上げてみることにした。 |
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■先に進むにつれ、杉のような針葉樹が目立ち始めた。 「その高さにより植物も変わってくるのかな?」 てな具合で関心してしまう。もっとも、その筋の専門家ではないので、実際のところは植物と標高の関係は分からないのだが、どちらにしても杉がやけに目についた。花粉症の私には、この上ないストレスであった。 杉の生い茂る合間の山道には、木製の階段が設けられていた。こういった歩きにくい山道では実に有難い設備といえる。 登りやすい階段を足早に登り切り、その先に見たものは、未舗装ではあったが開けた道路であった。 「なんだよ車で来ようと思えば来れたのか!」 落胆しつつ、おもわずそんな言葉が出てしまった。(前回その1末の写真を参照) といって、その時点でその道が八丁池まで繋がっているのかは分からないし、またどこからどう繋がっている道なのかも分からない。下手に車で進み、訳の分からない場所に行ってしまうくらいならば、徒歩でゆっくり撮影を兼ねて進んだ方が、サイト運営という観点からすれば良いと思う。 ここは深く考えずに、先へと進むべきだと考え心を落ち着かせた。 その未舗装の道路の付近の道標には、「八丁池2.2k」と記されていた。 約2キロといえば、日常の生活においては、どうってことのない距離である。実際に、当時の私の心境も 「余裕と言えば余裕じゃん」 といった軽いものであった。 余裕綽々で、その道標が指す方へ進んだのだったが…。 |
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■例の道標から先の道中の写真。 武骨に露出した木の根は、時に足が引っ掛かり歩き辛い。 こんな木の根が目立ち始めてきた。 |
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■そして、やはり所々に見られる石だまり。 巨石とまでは言わないが、なかなか大き目の石の群れに、歩き辛さを覚えてしまう。 |
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■古より立ち続けているであろう巨木の姿も見られた。 写真では分かりづらいだろうが、相当の太さであった。 巨木は妙に人の心を惹き付ける力がある様な気がしてならない。 |
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■随所に設けられた道標。 目的地まで、あと800mらしい。 ヘロヘロになりながらも、徐々に目的地が近づいている事実に嬉しさが込み上げてくる…というのは少々大げさな表現か? |
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■道中には、この様な喫煙所が設けられていた。 愛煙家の私にとっては、この上ない設備だ。 にしても、近年の“禁煙ブーム”ほど居心地の悪いものはない…と、小言を書いておこう。 |
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■愛煙家の至福の一時…といったところだろうか。 タイマー機能で撮影。シャレで撮った一枚だ。 カメラをどこに置いて撮影したのかは覚えていないが、恐らく都合のよい高さの台なり何なりがあったのだろう。 この、登山からは懸け離れた姿には、我の事ながら失笑するばかりだ。 |
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■生い茂る木々が創り出した、緑のトンネルだ。 高さも低く、これまた歩き辛そうなのだが、背の低い私にとっては然程問題はない。 …あまり自慢できることではないのだが。 |
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■シャレで上の様な写真を撮ったりで、ずいぶんと余裕に思われるかもしれないが、実は相当にヘバっていて休憩せざるを得なかったのが実情だ。 体験談にある通り、例の声の主に追いつくべくペースを上げて“ガツガツ”と登り、それでもなお追いつかずに諦めてしまった姿が、実は上の写真の本当のところなのである。 そんな訳で、すっかり疲れきっての道中は、次回より紹介していこう。 その3へ続く…。 |
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