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■第二十六話
過ぎ行く発光体

注:この作品は当サイトのメルマガ「路地裏通信」で公開したものです

■その1:深夜の相模湖


路地裏を立ち上げた平成12年の後半に訪れた「相模湖」。
気が付いてみれば、2年以上も月日が流れてしまい、遠い昔の出来事で記憶のなかに埋もれてしまいそうであったのだが…。
いや、実際に多忙な日々を過ごすうちに忘れかけていたことなのだが…改めて路地裏の“探索レポート”を見ているうちに


「そう言えば、あんな事もあったなぁ」


といった、いわば“プチ体験”といえる出来事に遭遇したのを思い出した。
ホンの一瞬の出来事であり、

正にプチ体験

と言える内容であり、面白みに欠ける部分は大いにあると思うが、その辺を弁えた上で最後まで付き合って下さると有難いです…。(汗)





当日の出掛け際の記憶は、さすがに覚えていないのだが、あの頃の探索を思い起こしてみると


コンテンツが薄いのでネタを掻き集めねば!!


といった事を突発的に思い、そして“即実行”に移したのだと思う。

あの頃は本当に行動的であった。
(いまでも然程変わらないのではあるが)知名度など全くない“路地裏”を

少しでも見て貰えるようなサイトにしよう

と思い、「そのために必要なものは何か」を考え抜いて、そして導き出した答えが「サイト内容を太らせる」であった。
そしてその答えを目標とし、時間があれば即座に心霊スポットと思わしき場所へと向かい現地を撮影し、時には奇妙な体験をし、そして路地裏で公開する際に


「どういったカタチで公開するか」


といった事を模索しながら1ページを取り合えず完成する。
そんな「手探りなサイト運営」を行なっていた時に訪れた1つが「相模湖」であった。

しかし正直なところ当日は、相模湖が一体どのような内容の心霊であるのかは全く知らなかった。

予備知識まったく無し

といった状況で向かった訳なのだが、なぜそんな状況でありながら相模湖に向かったのかといえば、それは単に

津久井湖から近い

といった理由に他ならない。
言うならば、津久井湖探索の「ついで」といった実に安易な探索となったのだが、サイトのネタが少ない当時としては、それも有りだったような気がする。
いま思うと、何とも情けない探索状況なのだが…。





とまあ、そんな状況で現地に向かったのだが、まずは津久井湖を素通りして「相模湖」へと訪れた。
津久井湖から伸びる国道412号線をひたすら進むと、やがて相模湖に架かる橋「相模湖大橋」にぶつかる。
その橋の袂には、メイン通りから分かれた枝道があり、そこを進めば、深夜に車を止めるには都合の良い場所がある。
そんな絶好の駐車場所を見逃す手はなく、当然そこに停車し、ある程度の仕度をし、探索を開始する事にした。

停車した場所の真後ろには、「相模湖大橋」が伸びており、その姿をバックミラーで確認する事ができた。
橋を走行する車のヘッドライトが、時折バックミラーを右へ左へと移動していたのが強く記憶に残っている。

当日は11月と言う事で、季節どおりの寒さが我が身を襲った。
車を降り立った我が身を通り抜ける風が、地肌を刺すような感覚であった事を強烈に覚えている…。

停車位置の、ほぼ真横には、相模湖を作り上げている「相模ダム」があった。
とりあえずそちらに向かい、現地を撮影することにする。
深夜の闇と、下部を流れる相模川から聞こえてくる水の流れる音が、独得の恐怖感を作り上げてはいるが、かといってそれ以上の怖さがある訳ではなく、個人的な印象としては


「ごく普通の深夜の水場だなぁ」


といった程度であり、ましてや幽霊が出そうな雰囲気は少なくともこの時点では全くなかった気がする。
ただ、恐らくは気のせいだと思うのだが、妙に身体をまとわり付くような感覚に襲われたのを覚えている。
かといって、それが「怖い」と思ったわけではないのだが…。


相模ダムの上に設けられた「築井大橋」を歩きながら現地を撮影する。
路地裏のレポートで言えば、ちょうど


相模湖ダム周辺:その1
http://www.roji-ura.com/reports/sagamiko1.html


の辺りである。
漆黒の闇の独得の閉鎖間と、まとわり付くような感覚のなか、現地の随所をカメラに収める。
ダムの下部にカメラを向け、フラッシュが照らし出した一瞬の姿が思いのほか不気味に思えてくる。

そして当日の空気の冷たさ

こんな条件が手伝ってか、先ほどまでは何とも思えなかった現地の空気も、次第に怖いものへと変貌していくように思えた。

そんな「徐々に恐怖心に支配されていく」状況のなか、ダムの上を撮影しながら移動し、ようやく対岸に到着する。
対岸には行楽に手頃な駐車場が設けられており、そこには恋人同士と思わしき男女が、車のエンジンを掛けたまま、恋路に華を咲かせる姿があった。
先ほどまで恐怖心に支配されそうな私にとっては妙な安堵を覚えた瞬間であった。


かといって、決してこの後まで約束された安堵ではてなく、帰り道には再び恐怖心に支配されるのであるのだが…。


その2へつづく…

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