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■第二十一話 頭痛:その2 |
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先程訪れた“■■■■■■■”から、若干の時間を要して、とある現場に到着した。 “到着した”と言うよりも、“心霊スポットの入り口に差し掛かった”と言った方が正しいであろう。 その現場は、ダム建設によって出来た人造湖であり、そこへ向かう道中には幾つかのトンネルが待ち構え、行く先には吊橋なども待ち構えている、なかなか見応えのあるスポットである。 また先に進む道は、山中に向かうにつれ荒々しい物となり、また道幅も狭くなるという、山道としては典型的な荒れ具合と言える。 道中に幾つか点在するトンネルも、上に向かうにつれ凄味を増し、岩盤を、いかにも繰り抜いたかのような生々しい作りとなり、初めて訪れる私にとっては、とても刺激のある姿であった。 トンネルが姿を見せる度に、車から降ろさせて貰い、その生々しい風貌を写真に納める。 “灯り”など皆無なこの現場の探索は、合同探索だからこそ出来得る物と思う。 恐らく私1人だけでは、絶対に訪れる事はないだろう。 そんな事を思いながら、トンネルの撮影を1つ1つクリアしていく。 ただでさえ寒風吹き荒れる冬の深夜であり、それがトンネルの内部となると、冷たく乾き切った空気がトンネルを吹き抜けているらしく、追い討ちをかけるかのように肌身に凍みてくる。 トンネルの中を、私と、この合同探索の主催者である“リーダー”とで歩き、その2人を追いかける格好で、もう1人の参加者が車で続く。 後方から車のライトが照らされているので、灯火のない内部の見通しも良く、足元の注意に神経を“横取り”される事も無く、撮影に集中できる好条件も合同探索が成せる業と言えるでしょう。 しかし… それでも“深夜の闇”と言う、昼間とは正反対の独得の空間であり、知らぬ間に緊張度は増してくる。 トンネルの内部を明るく灯してくれる車のヘッドライトは、確かに有難い存在であるし、この状況では頼もしい存在だ。 しかしその代償として、エンジン音がトンネル内に響き渡り轟音と化し、独得の不気味さを作り出す。 たかがエンジン音なのだが、心霊スポットという状況下では、時に不気味に聞こえてくるし、平常時でもエンジン音は良い存在とは言えないであろう。 でなかったら、騒音問題など起き得ない事だろうし…。 そんな状況で、頭を過ぎるのが、先程訪れた“■■■■■■■”の事。 気にしないよう心掛けていたのだが、ついつい思い出してしまう。 いや、実は移動する車の中でも時折 「なんだったっけかな…」 と考えていたのだが、結局答えは出ない。 この“思い出せない不快感”は実に嫌な物だ。 「ココまで出掛かってるんだけど思い出せない」 という状況は、日常の生活でも少なくない事であろうし、私自身もよく経験する事である。 しかしながら、完全に忘れた訳ではなく、 「行っては行けない場所」 と認識していたのは、何とか“おぼろげ”に思い出してきた。 ただ詳細は未だ不明のまま…。 私と“リーダー”がトンネルから抜け出し、それを追って後ろから付いて来た車が出てくる。 カメラのアングルから車が居なくなったのを確認し、“視覚上”蛻の殻となったトンネルの出口を撮影する。 あちらこちらとアングルを変え、その姿をカメラに収めるのだが… 「ありゃっ???」 先程の“■■■■■■■”で写した物より、さらにクッキリと妙な物体が写り、思わずその場で声を上げてしまう。 そして、この探索の企画者である“リーダー”に 「ちょっとコレ見てくださいよ」 と、デジカメのモニターで、その写真を見せる。 「う〜ん…」 相変わらず“迫力のある心霊写真”ではないのだが、写り加減が、先程の写真よりハッキリとしている。 しかし思えばリーダーは、最初に“■■■■■■■”で撮影した写真を確認していない。 別の現場ではあるが、2回続けての撮影に驚く私だが、この場で撮影された写真“だけ”を見たリーダーの感想は、やはり 「う〜ん…」 だったのであろう。 ウチのサイト的に言うならば、“変な写真”といった印象でしょうか…。 車中に戻ると後ろから車で追いかけていた、もう一人の参加者である“□□□□さん”が興味深い事を言い始めた。 思い出せる範囲内で言うと… リーダーと■■■さん(私)が歩いていたよね? その2人の間に もう1人歩く後姿が見えた… それを聞いたリーダーが、何かを感じたのでしょうか、すかさず運転していた彼に 「■■■さん(私)が面白い写真を撮影しましたよ」 と言い、私に先程の“奇妙な写真”を見せるよう要求し、それに答え、その画像を小さなモニターに表示させ、“□□□□さん”に見せた。 「おお…」 何とも形容しがたい声を上げる。 やはり先程の “私とリーダーとの間に居た、別の姿” を目撃してしまった事実が、この写真の写り具合に対し、より奇妙な物を感じたのでしょう。 その3へ続く… |
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